nurselog

rod

ナースログは 殆どの人が初めて触れたときに、その堅さと強靭さに驚きます。
本当にガチガチなんです。
もちろん、粘りますし 曲がりますが 空中で振った程度では それは解らないレベルのまるで『樹』です。 その樹は、オウルのルアーを投げるためだけに開発したロッドではありません。

『大きなブラックバス用』のロッドとして、必要な要素を極端に形にしました。

●プラグのサイズを選ばないロッドにしては6.6フィートは、長くはありません。
まして、グリップを除く ブランクだけでいうと6フィート強。
ナースログの公表適合ルアー値は~150g前後。このスペックにしては、むしろ短いロッドです。
例えば カヤックなどの浮きものでの釣りでは、7フィートを越えてくると、さすがに扱い辛く サイドキャストなどで つい水面を叩いてしまいます。
ブランクのみ6フィート強の長さは、それを解消すると同時に、操作においても扱いやすく、10フィート前後のカヤックなら、姿勢を崩すことなくバウを交わし いなすことの出来る長さ。

●グリップは、このレングスにおいては アンバランスともいえる、長めのダブル。
キャスト時にエンドを引き付けることで、6.6フィートの長さを生かした遠投性と、大きなプラグのキャスト負担を軽減します。
また、丸型リールを装着しても、長めのダブルグリップは両手で扱うことで 少しでも負担を減らすことに繋がります。

●フォアグリップは、小降りながらもフェイクではなく独立した物をとりつけました。
飾りではなく、ペンシルやポッパーなどのプラグ操作の時や、抵抗の大きなリーリングの時に 手元の添えかたで、このレングスやスペックを扱いやすく手助けしてくれます。
もちろん魚とのやり取りでの使用も。

●この6.6フィートという長さは、フックセットストロークにも一役かいます。一般のパワーロッドにしては短い部類のロッドですが、トップウォーターロッドとしては十分に長尺の部類。
少なからずスラッグを利用するトップウォーターの釣りでは、不意のバイトに ローギアリールでスラッグを巻き取るよりも、瞬時に竿を立てることで大きくスラッグを取れるタックルに分があると考えました。
しかし、スラッグを張った状態でフッキングを行えたとしても、従来のトップウォーター専用ロッドの弱点として、一撃で記録クラスの獲物を貫通することは難しく、何度も合わせをした挙げ句 浅がかりの上 フックが曲がってバレるということも…
例えばカヤックのような足場の固定されない状況でのフッキングの場合。
リールを巻きつつも、ロッドストロークによるフッキングの際、足場が引かれる事による力のロスが発生します。
そのロスが発生する前に、強靭なバットパワーで 貫通するフッキングを目指しました。なるべくなら、追い合わせの必要のない、出来れば針が貫通する手応えを感じることができるものを。
パワーロッドにしては『短く』。トップウォーターロッドにしては『長い』理由がここにあります。

●ガイドは、ステンレス。
チタンに比べ、コストも安く 重いガイドです。
しかしながら、都合よくスペック内の事ばかりが釣りでは無いという考えから、不意の事故にも なるべくなら『折れず』に『曲がる』という選択をしました。

●ブランクは、アンサンドフィニッシュ。
焼き上がったブランクに 塗装の為の研磨をなるべくしない、ほぼ素の状態。カーボンも繊維です。
研磨をすると、表面の繊維はもちろん切れます。塗装のウエイトも乗ります。
見た目はシンプルな物となりますが 軽く、強靭な物が欲しかったのです。

●ブランク貫通式の1ピース。
分割はおろか、グリップも外れません。
トップウォーターをメインに使用するメーカーとしては、異色のデザインとなりますが、オフセットグリップとのフェルール接点では、このブランクを活かすことは出来ないと考えました。

これだけの『極論を形にした』スペックでは トップウォーター専用ロッドにするにはあまりに勿体無いロッド。
輸入のマスキー用ルアーや、ビッグベイト、スイムベイトもまた、自己記録を狙えるプラグ。

●スタイルにとらわれず、竿が独立して支持してもらえる様に あえてデザインや表記は極力無地とし、ルアー同様のオウルステンシルのみを一ヶ所に配置しました。

●釣りのスタイルの違いで現れる、竿先のポジションも考慮した、バランス設計。

残念なことに、これだけのスペックを形にすると、感度の鈍いロッドとなってしまいますが、昨今のラインの進歩に このデメリットは苦になりませんでした。
また、小さな魚では、『釣り味』も奪ってしまいます。それを、このロッドで味わえることの出来る魚を目指すならば、そこも問題はありません。

●おそらく、現時点において国産のトップウォータープラグのカテゴリーでは このロッドでキャスト出来ない物は無いでしょう。(小さすぎる物は別として…)
大きなプラグは、『数メートル先に よっこらしょ』というのではなく、大きなプラグこそ より高くからや、より遠くへキャストして発揮できると考えます。

竿に関しては、全くの素人。オウルジーンズが、ワガママと希望、極端に偏った理論を 無理矢理ロッドのプロに形にしてもらったのです。
胸を張って言えるのは 未だに、専門知識はありません。
全てを満たした魔法のロッドなんて もちろんあるはずもなく、まして釣りにおいてはあらゆる状況に出会います。
ナースログに詰め込んだ理論も、かなり偏ったもので、全て正解の解釈でもないでしょう。

ただ、間違いなく言えるのは オウルジーンズにとって、この『ナースログ』に代わりはありません。それが全てなんです。
ナースログとはそんな『樹』の竿です。

2016-03-25